【「日本の就職活動」を知ろう!】留学生にとって日本の就活はちょっと おかしい?!

2020.7.2最終更新
外国人留学生の就職活動
日本の就職活動はちょっとおかしい!変だ!と思われる留学生や外国人の方も多いのではないでしょうか。確かに日本の就職活動は特殊です。時には異常と言われることも?!日本独自の就職・採用方法があります。慣れるまでは時間がかかるかもしれませんが、希望の会社に就職できるようにしっかりと予習・準備をしていきましょう!

1、新卒採用について

日本企業の採用方法について、大きく2つの柱があります。「新卒採用」と「中途採用」です。「新卒採用」が学生向けの採用で、「中途採用」は転職をする社会人向けの採用です。
まずは「新卒採用」から見てみましょう。

そもそも日本の就職活動とは?

日本では仕事を探す活動のことを「就職活動」と言い、略して「しゅうかつ」と言います。

また、学生が初めて仕事を探す場合は「新卒採用」といい、仕事を辞めて新しい仕事を探す場合は「中途採用」と言い、仕事を探すことを「転職活動」と言います。
新卒採用の対象となるのは、一般的には、高卒・短大卒・大卒・高専卒・専門卒の学生です。中には、中学を卒業して15歳から仕事をする人もいます。ここでは説明をしませんが、高校生の就職活動には特別な決まりがあります。
就職活動を始める時期は、最終学年になってすぐですが、準備段階を考えると、大学生なら3年生、専門学校生なら1年生から始めます。

就職活動の方法はいくつかあります。代表的なものですと、

・公務員試験を受ける
・求人サイトを見て応募する
・人材紹介会社に登録して紹介してもらう
・気になる企業を自分で調べて応募する(ホームページや採用ページなど)
・学校の先生やゼミの先生からの紹介を受ける
・学校のキャリアセンターに紹介してもらう
・ハローワークを利用する
・先輩や知り合いなどから紹介してもらう。

10月までに就職する企業を決める人が多いです。これを内定と呼びます。
多くの企業は10月に内定式を行います。そして、次の年の4月から働き始めます。
弁護士や検事などの法曹界や、医者・看護師などの医療の世界の就職は特別な方法が別にあります。

日本の就活は世界と違う?日本は異常!?日本特有の就活マナーって?

日本の就職活動はどのように特殊かつ異常!?なのでしょうか。日本の就職活動を知るためには、海外や母国との違いを知っておいた方がよいでしょう。海外、と一口に言っても、就職活動の方法や制度は国によって異なり、すべてが共通しているわけではありません。しかし、共通している部分もあり、日本とは大きく異なっている点があるようです。いくつか見てみましょう。

1、日本は暗黙のルールが厳しい

暗黙のルールとは、やらなければならない、やってはいけない、と決まっているわけではないけど、やったほうがいい、やらない方がいい、と思われている行動・言動・振る舞いのことです。例えば、就職活動の時は、黒いスーツで、髪を結んだ方がいい、や、説明会や面接の際にはお給与の話にはあまり触れない方がいい、などといったことです。
就職活動に限らず、働き始めてからのビジネスシーンでも、暗黙のルールは多くあり、業種や職種、地域によって様々なルールがあります。
就職活動では、ある程度共通した、みんながそうしている「空気を呼んだ」暗黙のルールがあります。海外でももちろん暗黙のルールはありますが、特に日本は厳しいと思われているかもしれません。もちろん、暗黙のルールとは逆を好む、という企業もあります。
では、就職活動における暗黙のルールは何か?というと、これから、もしくは別コラムでお話する「就職活動のポイント」に載っていることです。こんなに!?と思うかもしれません。日本人学生でも苦労するものです。根気強く頑張りましょう!

2、海外は実力主義でインターンを重視する傾向

日本では、ポテンシャル採用といって、その人が今後、将来的にどんな活躍をしてくれるか、を判断され、採用されます。ですから、人柄ややる気などをしっかりとアピールすることが大切なのです。しかし、海外では、今の状態で、どんな仕事ができるのか、を見て判断されます。ですから、大学で学んだことはとても重要で仕事に結びつけて話しますし、仕事をしていないと何も話せないなので、ほとんどの人がインターンをします。インターンで仕事を経験して、自分がこの先も活躍できそうか見てもらうのです。インターン先にそのまま就職、というケースも多いでしょう。
日本では、あまり大学の授業の話をしなかったり、専攻分野と全く関係のない仕事を選んだり、というのは海外の方からすると不思議かもしれません。もちろん一部専門職の方は別です。

日本の企業の「終身雇用制度」について

日本はなぜ将来の活躍を期待されたポテンシャル採用なのか?そこには日本企業の「終身雇用制度」が背景にあるからかもしれません。
「終身雇用」とは、学校を卒業してから定年(60歳〜65歳くらいまで)まで、一つの企業に長期間雇用される制度のことです。
近年では、不景気や、グローバリズムの流れから、終身雇用制度が薄れてきているという声もありますが、全体としてはまだまだ制度は根強く残っています。

日本の就活「新卒一括採用」について

終身雇用制度が根強い、ということは、初めて就職した会社に、定年まで勤めるケースがいまだ多いため、新卒採用の枠が中途採用の枠がより圧倒的に多いです。
新卒一括採用とは、ある時期を境に一斉に就職活動がスタートすることです。現在では、経団連の出す指針による「就活ルール」では3月に情報解禁、6月に面接などの選考開始、内定出しは10月以降、ということになっています。ルールに完全には則らず、早めに選考・内定出しをする企業もありますが、多くはこのスケジュールに沿って進むため、新卒「一括」採用と言われます。

日本の就活「ポテンシャル採用」について

海外の実力採用と比較して日本は「ポテンシャル採用」である、と話をしました。ポテンシャル採用とは、現段階での仕事に直接関連するような技術やスキルではなく、将来どのように活躍しそうか、を判断されて採用されることです。これは日本独特と言えるでしょう。外国の方にとっては、アピールが難しい、ということもあるかもしれません。しかし、メリットとして、就職へのハードルが下がり、すべての人に、人気企業や大企業、高収入・厚待遇の企業へ入社できる可能性が平等にある、ということがあるのです。
また、文系・理系問わず未経験で様々な職種へ応募が可能なので、幅が広がるという利点があります。しかし、外国人留学生の場合は、在留資格の関係で、すべての仕事への応募はできませんので、日本留学前にあらかじめどんな仕事がいい、と考えなければならない点は、日本人学生よりは大変かもしれません。

「協調性」を重視する日本の社会

日本の就職活動の特徴の一つとして「協調性」を重要視する点もあります。それは、日本企業では多くの場合でチームプレーを大切にしています。自分の意見をしっかりと伝えることも大切ですが、同様に相手の意見をきちんと聞くことも重要とされています。そのため、就職活動の段階でも、「協調性」があるかどうかをとても見られます。集団面接やグループディスカッションの際に、他の人が話しているときはきちんと聞いている、話を割り込まない、共感をする、など「協調性」をアピールすることも大事であると言えます。

2、中途採用について

一度仕事をしたことがある人の採用を「中途採用」と言います。
そして、仕事を探す人は「転職活動」をします。

転職活動の時期は人によってバラバラですし、前職在職中にする人もいれば、辞めてからする人もいます。新卒採用の就職活動のように、1年以上の時間をかける人は少ないかもしれません。

転職活動の方法もいくつかあります。

・公務員試験を受ける
・求人サイトを見て応募する
・人材紹介会社に登録して紹介してもらう
・ヘッドハンティングを受ける
・気になる企業を自分で調べて応募する(ホームページや採用ページなど)
・上司や知り合いから引き抜かれる
・ハローワークを利用する
・先輩や知り合いなどから紹介してもらう

などでしょうか。

また、新卒で就職できなかった人や、新卒入社後すぐに辞めてしまった人も、中途採用の枠になりますが、「第二新卒」と呼ばれます。新卒・転職枠ではなく、第二新卒、としての位置が確立してきているように思えます。
入社日も特に決まっているわけではなく、人によって異なります。

3、様々な働き方について

新卒採用、中途採用、というのは正社員での就職を意味します。
しかし日本には正社員以外にも色々な働き方があります。

・アルバイト(パート)
・契約社員
・派遣社員
・業務委託
・フリーランス

などです。今の小学生の将来なりたい職業を聞くと「Youtuber」と出てくるように、働き方は多種多様になっているのです。
「契約社員」は文字通り、雇用期間に契約があり、企業などと期間の定めのある労働契約を結んで働くことです。
働きぶりを評価されて、何回も更新して働き続ける人もいます。
派遣社員は派遣会社と雇用関係を結び、派遣先で働くことです。こちらも期間の定めのある労働契約を結びます。
アルバイトは週に2回、1日に4時間、などと比較的融通の利く働き方ができ、時給制でお給与をもらいます。アルバイトでもフルタイムで働く人もいます。

4、新卒の仕事の探し方について

仕事探しで大切なのは準備段階です。
一般的には下記のような手順で仕事探しをします。

・業界・職種研究
・企業研究
・自己分析
・企業探し
・応募
・履歴書作成・面接練習など
・面接など

仕事をしたことがないので、どのような仕事、会社があるかもわかりません。
ですから、まずは、どのような業界とどのような仕事があるのかを調べます。
職種に限りのあるビザをお持ちの外国人の方は、職種研究は対象の職種は少なくなるでしょう。
そして、次に各業界においてどのような代表的な会社があるのかを調べます。

そして大切なことは自己分析です。

・どのような仕事をしたいのか。
・どのような雰囲気の職場で働きたいのか。
・働く上で何を重視するのか。
※会社規模・給与や休みなどの待遇・働く人の雰囲気など

上記を行うことで、初めて企業を探す事ができるのです。
自分で行うのは難しいかもしれません。本や、サイトなどで便利なツールもあるので、利用すると良いでしょう。そして、おおよそ、こんな感じの仕事がいい!というのがわかったら、企業探しです。企業探しは2番目に書いた通りに行ないます。
同時に、履歴書の書き方を勉強したり、面接の練習をしなければなりません。こちらも1人では難しいかもしれませんので、練習相手がいると良いでしょう。
何社応募するかは人それぞれです。5社だけ!とする人もいれば50社応募する!という人もいます。説明会だけはたくさん行く、という人もいます。

多くの新卒採用では、応募後、まず会社説明会へ行きます。
そして書類選考・グループ面接・面接数回、などとなります。途中で適性検査(てきせいけんさ)や筆記試験、論文試験(ろんぶんしけん)を入れる会社もあります。
応募から、内定まではおおよそ2ヶ月近くかかることも普通です。
新卒の仕事探しは長期戦(ちょうきせん)です。計画を立てて、そして息切れしないように、最後まで走り抜けましょう。

5、中途の仕事の探し方について

一方で中途採用の仕事の探し方は、短期間勝負の人が多いでしょう。
一般的な流れは下記の通りです。

・転職したい理由と、次の職場への希望を明確にする。
・仕事を探す。
・応募、面接など

新卒採用と異なり、中途採用の場合は、辞めた理由が明確ですし、そのため次の職場や仕事に何を求めるのか、もはっきりしている場合が多いです。そのため、ここの確認作業にはあまり時間はかからないでしょう。
しかし、自分の希望に合う、仕事や職場が見つかるまで、応募・面接を繰り返すので、人によっては何社も何社も受けないと、なかなか見つからない人もいるでしょう。
中途採用の場合は、会社説明会などは省かれ、最初から個人面接のところが多いかもしれません。
中途採用の場合は、応募されている仕事と自分のこれまでの経歴やスキルがどのようにマッチし、自分は何をしたくて、何ができるのかを面接できちんと明示する必要があります。

6、就職活動を攻略するために考えるべきこと

日本の就職活動の特徴が分かったところで、では、次の課題はいかに就職活動を攻略して成功させるかです。いろいろなポイントがありますが、ここでは3つ大切なことについて説明していこうと思います。

自分が活躍できる会社とは?

自分が活躍できる会社とはどんな会社でしょうか?
すぐに思いつく人は少ないでしょう。そうです、多くの準備が必要なのです。自分が活躍できる会社を知るためには、下記の事が必要です。

自己分析自分がやりたいこと、自分の強み・弱みを知ります。
業界研究日本にはどんな業界があるのかを知ります。
職種・企業研究自分が在留資格を得ることができる職種はどんなものがあるのか。どんな企業があるのか、を知ります。
インターンシップできればインターンシップをすると良いでしょう。より具体的なイメージを持つことが出来ます。